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オーロヴィルにある巨大な黄金のゴルフボール
一度目にすると一生忘れられない強烈な外観。
一見、新興宗教の本拠地か?と思うようなこの施設は、南インド・タミールナドゥ州で独自のコミュニティを運営するオーロヴィルという町のシンボル的施設です。
オーロヴィルは、1968年に始まった実験的エコヴィレッジ。この地の指導者で精神的な中心人物だった、インド人哲学者シュリ・オーロヴィンドと、彼の理念を現実にするために人生を捧げ、人々からマザーと呼ばれたトルコ系フランス人ミラ・アルファッサの尽力で作られました。
世界60カ国から集まった約2500人の住人が、独自のコミュニティを作って暮らしています。インド中央政府から特別な税制や専用ビザが認められ、財政援助を受けているほか、EUやユネスコからも支援を受けています。
コミュニティのシンボル的存在となる施設を作るため、フランス人建築家が多くのアイデアを出し、最終的に今の形に決定。名前は、マトリ=母、マンディール=寺という意味のサンスクリット語で、マザーに捧げられています。
黄金のゴルフボールとも呼ばれ、球体に東西南北4つの入口があり、表面は1415枚の大小の円盤型プレートで蔽われています。
1971の着工から37年の歳月をかけ、2008年に完成しました。オーロヴィルのサイトには、何もなかった場所に、この巨大な建造物が出来上がっていく様子を写した写真が時系列で掲載されています。
入場体験記
ビジターセンターで受付を済ませた後、シアタールームでビデオを見ます。マトリマンディールの建築や理念についての基礎知識を得たら、いよいよ内部ツアーに出発。専用のシャトルバスに乗り移動します。
荷物はすべて預かり所に預けます。貴重品もスマモもデジカメも一切持ち込み禁止です。スマホや携帯はスイッチを切ってから預けます。預かり所にも鍵などはないので、紛失が心配なものは持って行かないのが賢明。お金は多少の現金をポケットに入れるだけにしておきました。
敷地内にある繁栄のシンボル、バニヤンツリーの大木からスタート。最初に案内人が、入場に際しての注意事項を説明します。
案内人について進み勝手に自分で移動しないこと。言葉を一切発しないこと。
ここからは、誰も一言もしゃべりません。
野原の中を歩き、マトリマンディ-ルの入口へ。ボールの一部に開かれた階段を上って行くのは、宇宙船に乗り込むような気分です。
内部は白一色。中央は空洞で、球体の内壁に沿って斜めに上って行く階段が続きます。皆一列に並んで静かに歩いて行きます。途中何階かの踊場があり、最後に最上階へ。そこがインナーチェンバーと呼ばれる大ホール。
瞑想施設と呼ぶのに相応しい場所ですが、ここで静かに過ごす時間は、Meditation(瞑想) ではなく、Concentration(集中)と呼ばれています。
スピリチュアル気分満点のクリスタルボール
広いホールの中央には、透明なクリスタルの球体が置かれ、高い天井の中心からまっすぐに差し込む太陽の光が、球の中央部を貫いています。クリスタルはドイツのレンズメーカー、ツァイスに特注して作られたもの。天井の採光部は、太陽の動きによって角度を変えるようになっていて、常にクリスタルに向かって垂直に光を落とすようになっています。
その不思議な光景を遠くに眺めつつ、壁際にぐるりと置かれた座布団に座り、思い思いの時間を過ごします。滞在時間は15分とされていますが、明確に計られているわけではなく、終わった人から出て行くようになっていました。
ペタルも瞑想ルーム
下に降りると、次はペタル・メディテーション・ルームヘ。ゴルフボールを支えるように周囲を囲む、茶色の花弁のような部分は、花びらという意のペタルと呼ばれ、全部で12個あり、内部は小さな瞑想ルームになっています。(リピーターか、リピーター同行者が入場可能)
どのペタルに入るかは決まっていて、一回の訪問で入れるのは一つのペタルだけです。中は10人ほど入るといっぱいになるほどのサイズです。
ここでもしばし、瞑想タイム。
この後、預けた荷物を受け取って、帰りのシャトルでビジターセンターへ。
ビジターセンターには多数の本が販売されているので、何冊か購入。
外観が眺められるビューポイントへ
外観を眺めるビューポイントは、写真撮影にも絶好の場所です。
整備された遊歩道を10分ちょっと歩きます。
ところどころに、花の絵と花言葉の案内版があります。最後に書かれたちょっとした一言が心に沁みます。
ビューポイントに到着。みんな記念撮影をしたり、木陰でくつろいだりしています。
予約方法
①外観の見学 ②内部への入場について説明します。どちらも無料です。
1.外観の見学
遠方から外観が一望できるビューポイントが作られています。事前予約は不要です。営業時間内にビジターセンタに行き、オーロヴィルとマトリマンディールに関する10分くらいの短いビデオを見ると、パスがもらえます。
ビューポイントまでは、木陰の平坦な道を10分ちょっと歩きます。足腰が弱い人や歩くのが困難な人向けに、専用のシャトルバスが走っています。
●受付時間(変更の可能性があるので、訪問の際は必ず現地に確認して下さい)
・月曜~土曜:9時~16時
・日曜 :9時~13時 午後休み
2.内部への入場
内部のホールはインナーチェンバーと呼ばれ、入場は完全事前予約制です。
予約は原則、訪問希望者本人が現地に行って直接行うことになっています。予約できるのは翌日以降一週間先までの入場です。定員が埋まると締め切られます。従って、一日だけの訪問では中に入ることができず、最低1泊2日の現地滞在が必要になります。ポンディチェリに一泊して行くのがちょうど良いのですが、最近は人気施設になってしまい、一週間先まで予約が埋まっていることも珍しくありません。予約が取れればラッキーというところです。
メールや電話は不可で(リピータ―はメールと電話対応あり)、グループ受け入れはしていません。また、10歳未満の子供も入場できません。
旅行会社等の代理予約は一切受け付けていないので、あくまでも個人対応になります。現地在住の友人知人があれば、聞いてみてもらうと良いかもしれません。
●受付時間
午前10-11時と、午後2-3時のみ。火曜日は休みです。
訪問と予約に関する案内は下記、オーロヴィル運営サイトに情報がアップデートされるのでご参照ください。
https://www.auroville.org/contents/252
オーロヴィルは、インド服や雑貨などのおしゃれなショップが多い場所でもあります。マトリマンディール見学の後は、ぜひ町を散策してみてください。
オールヴィルへのアクセス
チェンナイ空港から入るのが便利です。チェンナイから南へ150㎞、車で2時間半の距離。ポンディチェリーからは10キロの距離なので、ポンディチェリに宿泊して移動するのもおすすめ。
チェンナイへは成田から直行便が毎日出ているほか、アジア経由便もあります。